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平成29年 第4回AHEADMAP関東支部抄読会開催のご案内 ~歯肉増殖は口腔ケアで減らせますか?~

皆さま、こんにちは

第4回AHEADMAP関東支部抄読会の開催をご案内いたします。

配信日時:平成29年12月17日(日曜日)21時30分開始を予定しております。

配信URL:https://ssl.twitcasting.tv/aheadmap_kantou/broadcaster 

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【仮想シナリオ】
ある日、50代の男性患者に服薬指導していました。
何気なく「最近気になったことは無いですか?」と訊ねてみると、
「そういえば、最近歯茎が腫れてきたし、なんか歯並びが気になる、でも特に痛みはないんだよね。」とのこと
 

痛みを伴わない腫れとの訴えから、歯肉の増殖を疑い、調べることにしました。

歯肉増殖を伴う現象には主に3つあるようです。

1:遺伝性歯肉線維腫症(hereditary gingival fibromatosis,HGF)

2:神経線維腫症 1型(フォン・レックリングハウゼン病)

3:薬物誘発歯肉過形成

1のHGFはまだ不明な点が多く頻度も明確でないようです。

2のフォン・レックリングハウゼン病は難病にも指定されており、3千から4千人に一人の割合で発症するようです。

3の薬物誘発歯肉過形成は抗てんかんのフェニトイン、免疫抑制剤のシクロスポリン、ニフェジピン等のCa拮抗薬による誘発が報告されています。

誘発頻度に関する文献はこちら↓

URL:

https://bmcoralhealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/1472-6831-8-34

PDF:

https://bmcoralhealth.biomedcentral.com/track/pdf/10.1186/1472-6831-8-34?site=bmcoralhealth.biomedcentral.com

 

【使用薬剤】
ニフェジピンCR20mg 1錠
ロスバスタチン2.5mg  1錠
 
1,2は小児の時点で発見されることが多いようで、年齢、服用歴からも3の薬剤性歯肉増殖の可能性が高いと考えました。同時にいくつか疑問も浮かびます。
  
クリニカル・クエスチョン①
Ca拮抗薬の中でも誘発頻度に差はあるのだろうか?
疫学調査を検索したところ下記の論文がヒットしました。
クリニカル・クエスチョン②
Ca拮抗薬を服用してても、歯肉増殖を予防する方法は無いだろうか?
更に検索してみると、下記の論文がヒットしました。
 
②についてPECOを立ててみました。
【PECO】
P:カルシウム拮抗薬を服用している人が
E:口腔ケアをするのと
C:口腔ケアをしないのでは
O:薬剤性の歯肉増殖は変わりますか
 
論文を読んでみて、どのような対応があるか、 皆さんで考えてみませんか?
 
 
<参考>
歯肉炎の定義については以下の通りです

f:id:AHEADMAP_kantou:20171119122156p:plain

 
添付文書に記載の各Ca拮抗薬の歯肉増殖の頻度

f:id:AHEADMAP_kantou:20171119121854p:plain

 関連資料、話題

腎移植患者におけるシクロスポリン使用中の患者に対する口腔ケアの効果の検討

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24356398

シクロスポリン使用中患者に対するアジスロマイシンの効果 システマチックレビュー

https://bmcoralhealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/1472-6831-8-34