AHEADMAP関東支部

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予防接種率は喚起と通知で改善,特に生電話や対面が効果的という報告(コクランから)

 Twitterを見ていると明らかに非科学的な情報が一般市民だけでなく医療従事者からも発信されています。2017年10月時点の日本国内のtwitter利用者数は約4500万人だそうです。9~15%はbotであるとの報告aがあり、さらに重複利用をしている利用者や企業・団体のアカウントもありますから個人利用者数はこの数字より少ないでしょう。多くの人がリツイートして情報が拡散する「バズる」と言われる現象がありますが、真実の情報よりも間違った情報の方が拡散しやすいという報告がありますb。ただ、拡散された情報どおりに行動するかはまた別の話です(一定数行動に移してしまう人がいますから無いに越したことはないのですが)。

 1つ論文をご紹介します。様々な手法による予防接種率への寄与を検証した研究をまとめた報告です。

Patient reminder and recall interventions to improve immunization rates.  PMID: 29342498

 喚起・再通知方法は直接電話・手紙・ハガキ・テキストメッセージ・自動音声案内・メールと電話の組合せ・案内通知或いは出向いての案内・対面案内が検討されました。このうち直接電話と対面説明がより効果的だったと結論付けています(表1)。
表1 通知方法による接種率への寄与

 

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 各通知方法のメタアナリシスの異質性は中等度から高度でした。恐らくハガキと手紙の違い、アウトリーチで対面説明もしている(対面説明のメタアナリシスにトラッキング&アウトリーチの論文が含まれていました)など形式は違うが内容が似てきてしまうためはっきりとした分類がしにくいのが要因と思われます。

 個々の論文を一部ご紹介します。

A randomized study of tracking with outreach and provider prompting to improve immunization coverage and primary care.  PMID: 9917436

※この論文は対面案内のメタアナリシスに含まれていました。方法はトラッキング&アウトリーチです。やはりメタアナリシスを行う際の割り振りに難があるようです。

 

 介入は何もしない(コントロール)・案内通知のみ・トラッキング&アウトリーチのみ・トラッキング&アウトリーチと案内通知の組合せの4種のどれかに割り付け。

※トラッキング&アウトリーチとは未接種状況をスクリーニングして訪問案内する方法。

 結果はトラッキング&アウトリーチで20%の接種率改善が得られたというものでした。コクランのメタアナリシス及び個々の論文を見てみるとコミュニケーションが密である方法の成績が良かったです。これはテクノロジーが発展してもやはり人間は感覚や感情に影響されやすいとも言えますが、しかし逆に医療従事者が密なコミュニケーションで案内をすれば拡散した誤ったネット上の情報など取るに足らないともいえるのではないでしょうか。

 拡散した情報の火消しはどうしても後手に回ります。そこに労力を割くよりも外来や公共の場での講演などの地域に根差した地道な活動を進めていく方が効率的かもしれません。

a. Online Human-Bot Interactions: Detection, Estimation, and Characterization.

b.The spread of true and false news online.